豊田奈緒(1990年/東京生まれ)は、現在、東京造形大学絵画専攻3年に在籍する若いアーティストです。暗い色調に支配された画面は、魔物が棲む魔界のような印象を受ける作品も多く、妖しく幻想的な世界を映し出します。豊田の絵画は、死を想起させるものもあれば、新たな命の芽吹きを感じさせるものもあります。画面に纏う雰囲気はヨーロッパの幻想的絵画を思い起こさせますが、リアリズムを基調としておらず、和洋を融合した先の潮流を感じることができます。彼女自身のまだ若く、少ない経験より思い描かれた空想の世界は、それ故に強固なイメージに基づいており、作品は現代の奇想画となって生まれ出るのです。
「私は物語を描く」
目には見えないどんな物語でも空想でも、私は絵画によってイメージを再現する。
私の描く世界は「楽園・失楽園・異界」などの物語である。どの物語も醜く滑稽なものだ。そのような物語の断片を、私はすくい上げる。「物語世界」にこそ、表現したい世界の全てがあるように感じている。
こうした方法は古代から用いられてきた絵画の構築法として「根本的」な、考え方である。20世紀はその考え、方法が排除される時代であった。しかし私にとって現代の「絵画」とは前記で述べた、「根本的」な構築法で描くことなのである。
そうした方法が古い方法としてではなくまた新たな流れとなって、新しい絵画に必要になっていると私は考えている。
豊田奈緒
本展では、「親愛なる果実」と題し、新作絵画を中心にご紹介いたします。